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「昭和8年」を起点に、ジャック・フィニイよろしくモダン都市を散策するブログ

60年ぶりの眺望

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丸の内、八重洲、大手町、日本橋、京橋、銀座… ぼんやり再開発ラッシュのこの界隈を歩いていると、思わずアッと息を飲むようなことがすくなくない。たいがいは、そこにあるはずの建物がすっかり消え失せてなくなっていることに気づき、驚かされるのだ。ところが、きょうの驚きはそれとはちょっとちがっていた。

 

日本橋高島屋の横、山本山本店や日本橋富士ビルディングのあった一角がすっかり空き地になってしまっているせいで、いままではビルの死角になって見えなかった高島屋本館の側面が中央通りから丸見えになっているのだ。昭和8(1933)年に高橋貞太郎の設計により建てられた高島屋本館(の旧館)と村野藤吾の設計により昭和27(1952)年以降なんどかに渡って増築された本館(の新館)、そのふたつがドッキングされている部分を見事に見晴るかすことができる。となりに建っていた日本橋富士ビルディングの竣工が昭和31(1956)年ということだから、いわばその「眺め」は〝およそ60年ぶり〟に出現したわけだ。

 

さて、三井不動産のウェブサイトによると、数年後にこの空き地には地上31階/地下5階建ての高層ビルが完成するとのこと。そうなると、次この「眺め」と出会えるのは60、いや70年後くらいになるだろうか。そう思うと、ある意味〝貴重〟な風景ではある。