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ふりだしに戻る

「昭和8年」を起点に、ジャック・フィニイよろしくモダン都市を散策するブログ

銀座の〝けもの道〟を往く

箸休め

ぼくが、密かに銀座の〝けもの道〟と呼んでいる抜け道を紹介する。

日本橋から京橋、さらに銀座1丁目から8丁目を抜けて新橋に至る一帯の街路の整然とした印象は、外堀通り=中央通り(銀座通り)=昭和通りと並行する3本の大通りに対して交差する道路が織りなす碁盤の目によるところが大きい。ところが、地図をみるかぎり、「花椿通り」と「御門通り」のあいだにあたるもっとも新橋寄りの通りのみがどういうわけか「並木通り」にぶつかったところで途切れてしまっているようにみえる。碁盤の目で揃わないのがどうもキモチ悪い。

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ところが、たしかに自動車は通行できないとはいえ、じっさいに足を運んでみると「並木通り」と「中央(銀座)通り」とをつなぐ抜け道(赤い点線部分)が存在することがわかる。

 

まず外堀通りを折れ中央通りをめざすが、すぐさま正面が行き止まりになっているのに気づくだろう。

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それでもなお近づいてゆくと、右手「俺のフレンチ」と左手、版元として川瀬巴水の版画を売り出したことでも知られる「渡邊木版美術画舗」のあいだに人が通り抜けることのできそうな隙間を発見(矢印)。

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こんな感じ。ぜんぜん行けそう。

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シャッターが閉まっているので判りづらいのだけれど、こんなところの両側にびっしり店が建ち並んでいて驚かされる。ここを抜けたら「見番通り」だ。

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続いて、木の壁がいい味を出している「栄寿司」の右手を進む。

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どうやら「金春通り」に出れそうだ。

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こうなったらなんとしても「金春通り」から「中央通り」へと抜けられる道を発見したいところではあるが、正面はまだ比較的新しいビルでうっかり入りでもしようものなら警備員に怒られそうなたたずまいで腰が引ける。それでも、叱られたときの口実を考えつつ自動ドアを開ける。

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「銀座888(スリーエイト)ビル」の内部。ゴ、ゴ、ゴージャス!! ここはエレベーターホールかと思いきや、なんとエレベーターホールとは切り離された「通路」として設計されているではないか!! 講談社カルチャーブック『銀座再見』(1993年)で確認すると、もともとこの場所には「銀座千疋屋本店」と時計・宝飾の「審美堂」、「兜屋画廊」があった。当時も抜け道があったのかどうかは定かではないが、ビルを新築する際ここにこのような「抜け道」を残したところからオーナーの〝銀座愛〟がひしひしと伝わってくるようではないか。f:id:moicafe:20170103000249j:plain

こうして、無事に「外堀通り」から「中央通り」までまっすぐ通り抜けることができた。道路の反対より「銀座888ビル」の通路を写真に収める。

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こういう抜け道のほかにも、銀座にはまだまだ狭い路地や小さな横丁が残されている。メインストリートの喧騒を離れ、こうした路地や横丁に〝松崎天民の銀座〟を探し思いをはせるのがぼくの密かな愉しみでもある。