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「昭和8年」を起点に、ジャック・フィニイよろしくモダン都市を散策するブログ

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

龍膽寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップ ー夜中から朝まで』を読む(第7回)

復興期の東京に出現した数多くのビルディングのなかでも、とりわけ〝フォトジェニック〟という点で図抜けていたのは、丸の内にあった東京中央電信局だったのではないか。龍膽寺雄は、夜空に屹立するその中央電信局のビルディングを都市の〝頭脳〟に見立てる…

龍膽寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップ ー夜中から朝まで』を読む(第6回)

舞台はもうひとつの「ギンザ」、「山の手のギンザ」新宿へ。 かつて、「山の手のギンザ」といえば神楽坂の専売特許であった。関東大震災の被害を免れた神楽坂は、夜店が並ぶころともなれば銀座をもしのぐにぎわいを見せたと野口冨士男も書いている(『私のな…

龍胆寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップー夜中から朝まで』を読む(第5回)

話は前回のつづき。夜の銀座。ふたつめの#エピソード。 ケララ、ケララ、ケララ! 自動車が尾張町の角でグイと急速に輪を描くと、女はひとつクッションに揺すぶられてた男の膝を、繊(ほそ)い指で突ッつくんです。 『ちょいと、どこへ行くのよ?』 『識(…

龍膽寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップ』ー夜中から朝まで』を読む(第4回)

ふたたび、ぼくらは銀座へと舞い戻る。 #イントロダクション モダン都市東京の心臓ギンザは、夜と一緒に眼をさます。 真紅・緑・紫。 眼の底へしみつくネオンサイン。 イルミネエションのめまぐるしい点滅はシボレエの広告塔。 パッ! トロリイに散る蒼いス…

龍膽寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップ −夜中から朝まで』を読む(第3回)

引き続き、龍膽寺雄の『甃路(ペエヴメント)スナップ』を読んでいる。 今回取り上げるのは、ひとつのエピソード。前回、思いのほか長くなってしまったため中断せざるをえなかったのだが、本当ならこのエピソードまでを一区切りとしてまとめて紹介したかった…

龍膽寺雄『甃路(ペエヴメント)スナップ ー夜中から朝まで』を読む (第2回)

『甃路(ペエヴメント)スナップ』は、《世界大都會尖端ジャズ文學》叢書の第一弾として昭和5(1930)年5月に出版された『モダンTOKIO円舞曲』のなかの一篇である。作者は、龍膽寺雄。この『甃路スナップ』を、じっくり味わうように読み込むことで昭和5(…